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六本木ミッドタウン傍です。
ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。
太宰治『人間失格』
いま、という瞬間は、面白い。いま、いま、いま、と指でおさえているうちにも、いま、は遠くへ飛び去って、あたらしい「いま」が来ている。
太宰治『女生徒』
私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。
私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです。
太宰治『斜陽』
僕はね、キザのようですけど、死にたくて、仕様が無いんです。生まれた時から、死ぬ事ばかり考えていたんだ。皆のためにも、死んだほうがいいんです。
それはもう、たしかなんだ。それでいて、なかなか死ねない。
へんな、こわい神様みたいなものが、僕の死ぬのを引きとめるのです。
太宰治『ヴィヨンの妻』
誰しもはじめは、お手本に拠(よ)って習練を積むのですが、一個の創作家たるものが、いつまでもお手本の匂いから脱する事が出来ぬというのは、まことに腑甲斐(ふがい)ない話であります。
はっきり言うと、君は未だに誰かの調子を真似しています。そこに目標を置いているようです。
太宰治『風の便り』
死ぬのか生きるのか、それは人間の幸不幸を決する鍵(かぎ)では無い。
太宰治『パンドラの匣』
人間は、いや、男は、(おれはすぐれている)(おれにはいいところがあるんだ)などと思わずに、生きて行く事が出来ぬものか。
太宰治『斜陽』
女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。おそろしい。不思議なくらいだ。気をつけよう。
太宰治『女生徒』